アラランランド

中年の危機からウェルビーイングのかたちを探していく

ウイスキーを買う理由

2009年に初めてベトナムホーチミンへ行ったときのこと。仕事で出張だった。空港は蒸し暑く荷物はなかなか出てこない。市内に向かう道は完全に舗装されていないガタガタ道。信号もない。交差点では大量のバイクがノロノロ運転でゆずりあいながらすれ違う。時速30キロを超えることはないスピードで砂ぼこりが舞うなか国営デパート近くのホテルまで向かった。社会主義国の経済拡大政策で急速にビルやマンションが一斉に工事をはじめる建設ラッシュ。行き交う人の多さに高度経済成長を感じた。日本のODAのマネーが流れ込んで道路、橋、地下鉄開発が進んでいた。中国、韓国、ドイツの投資も多かったためか、それぞれの企業はレッドオーシャンの中のような熾烈さがあった。賄賂の横行や政府の用途外の使い込みなど闇の部分も多くはらんでいた。ともあれ目の前で景色がどんどん変わり若者たちが笑顔で一生懸命に仕事をしている姿をみてこれからが楽しみで夢がもてる世界に映った。

 

飲んだお酒はビール。サイゴンビール、バーバーバーを水のように飲んだ。薄くてほんのり麦の甘いフレーバー香る炭酸で気温が高い場所で飲むのに最適で美味しく感じた。レストランにあるウイスキーの銘柄は少なく、シーバスのボトル1本をまるまる買わなければならなかった。選択肢はとても少ない。中身がホンモノかニセモノか分からないものも流通していた。ニュースではメチルアルコールを飲んで毎日死者が出ているのを聞いていた。そのためか焼酎やウイスキーを客先に手土産で持っていくと大変に喜ばれた。たいていのお店はお酒の持ち込みができた。安全性と美味しさを実感して、楽しく飲むという喜び。常夏の暑さと酔いもあってか、その喜んでくれる顔が忘れられなくてウイスキーが好きになったのだとおもう。

 

海外駐在で苦悩を抱えながらも明るく楽しく働く尊敬する日本人たち。今でも陰ながら応援しています。

 

ではまたのとき。