外国人技能実習生
外国人技能実習生
2016年、工場の人手を増やすためベトナム人の技能実習生を雇ってみようと検討したことがあった。ベトナムには仕事の拠点もあり馴染み深く感じていた。費用のはなしや実情などを伺うために、都内にある20年以上続いている監理団体に問い合わせてみた。監理団体の職員3人が翌日に来社していただき話を聞いた。
そのときの結論はベトナム人実習生を受け入れを見送った。来ていただいた監理団体の横柄な説明にもうんざりしたのもあった。(実習生ではない外国人を採用した)
費用は日本人の従業員を雇うより高くなるということに正直に驚いた。給与、居住費、毎月の手数料給与額の2割、初期費用約100万円/人、がかかるという。
ひとり毎月28万円と家賃と初期費用約100万円が最低必要という。別途保険と年金もある。
日本人を雇うよりも高くなる。同じ職場で働く人が知ったらやる気をなくしてしまう。アメリカ南部の白人が移民に仕事を奪われて偏見と差別心をもって暴言をはき、飲んだくれてしまうテレビの一シーンを思い出し、日本の未来の姿をすこし想像した。私自身地方出身で大学から東京に住んで、卒業後採用になった中小企業の初任給より待遇がいい。10年働く中堅クラスの給与水準だった。職種は違うが働きはじめた当初私にも同水準での待遇だったらなあと正直おもった。
受け入れる企業としては使い勝手のいい人材がほしい。3年という期間限定なうえに費用が高い。単純作業なら期間限定でもいいが、3年というのはやっと仕事がまともになる頃。仕事の幅も広がり雇う側からすればさあこれからというところでお別れになる。住むところも提供しなければならない。日本の環境に慣れるまでフォローしなければならない。1から教えてこれでまともに業務が進まない人もいるだろう。ミスマッチのときに変えが効かない。期間限定で人員が入れ替わるのだから技能習得目的で高度な技術を磨くよりも、より単純化された仕事に従事しがちになる。
毎月ひとりにつき約5万円手数料を監理団体に支払う。人材不足の会社の足元をみてだいぶつけ込んでいる商売だと感じたが、仮に100人紹介しても月500万の売り上げにしかならない監理団体の仕事もシブい仕事だと感じた。限られた人材と受け入れ企業の争奪する管理団体同士の競争も激しいだろう。管理団体はベトナム側送り出し機関とも連携や運営もしている。
●実習生のベトナム側の送り出し機関への借金
技能実習生の過半数以上が来日前に借金を背負って日本に来ている。
日本語勉強、日本の文化とマナーを学ぶ学校である。1年ほど学習をするというのを聞いた記憶がある。学費や諸費用で70万円〜100万円。ベトナム人の平均給与が3万円程度だったので高額である。この高額費用は日本側の都合で決めた費用である。送り出し機関は管理団体が運営しているか連携をしている。借金をせずに支払えるひとはいいが、そもそもが農村や地方出身者。お金がなく、稼ぎたい夢をもって、やろうと決意をした人たち。その稼ぎたいという希望と意志に借金を背負わせるシステムである。3年で返済をするには月2〜3万円を返済しなければならない計画となる。
・ベトナム国内で高等教育を受けて専門性を身に着けてから日本へ来るベトナム人。
・現地日系法人に勤めて社内転勤で日本へ来るベトナム人。
・日本の大学に留学をする外国人。
・外国を転々として日本に来るひとたち。
とは全く別のルートの、選択肢が限られたなかで外国へ出稼ぎをしようと思いたち期間限定であるが働きながら技能を身につけるための道。とにかく日本に行こうと決意するひともなかにはいるだろう。
外国人技能実習生:来日前に半数超が借金、平均55万円―出入国在留管理庁の調査
ようやく日本のどこかに配属され来日するベトナム人に待ち受ける人生はそれぞれである。待遇がいい会社、待遇が絶望的な会社、ほどほどの中間の会社。周りに理解者がいる場所、全くいない場所、田舎か都会かでも違う。家族や親戚友人づきあいを重きをおく人間性のベトナム人にとってコミュニティーは重要な要素のひとつである。
・借金を無理なく返せるか。
・職場の周りのひとたちとうまく付き合うことができるか。
・友人知人とのコミュニティーを形成できるか。
・過酷な単純労働に疲弊しないか。
・余暇と休日を楽しく過ごせるか。
・酒、タバコ、ギャンブルに興じて身を滅ぼさないか。
・失恋
・病気ケガ
・ホームシックにならないか。
・待遇の悪い会社で搾取されていないか。
・時給労働で労働時間を減らされ生活苦に陥らないか。
・新たに借金をしてしまわないか。
・3年の期間一つの会社に従事し続けることができるのか。
・必ずあるいやがらせやイジメに向き合い解決することができるのか。(我慢するひともいるだろう。)
すべてのリスクを回避できればよいが3つぐらいの問題が重なると「逃亡」ということを思いはじめてしまう。
人材不足の会社は外国人を雇うというという選択肢のひとつとしてある。地元に限らず地方出身の若者を雇っていた会社。人気も知名度もない会社は募集をかけても全く応募がない。人気がない。魅力がない。働く側の将来どうありたいかなども見えない。とにかく仕事にありつきたい人でさえ、敬遠して選ばない仕事。そんな会社の経営者と監理団体の利害関係の一致で成り立つシステム。そこに送り込まれる技能実習生は受け入れ企業の待遇の良し悪しに大きく左右される。搾取、ピンハネ、サービス残業、労働基準法に違反する企業もある。公にならずに我慢をして過ごしている人もいるだろう。100%うまくいっているなんてことはありえないから、何かしらのトラブルを内包している。
人手不足の状態の会社にはそれなりの理由がある。
3Kであったり、給料が低くて魅力がない。地方の工場である。人間関係の不調和が際立たしい。パワハラ・セクハラが内在している。自己決定権がまったくない。言われたことをやれといわれるが、それだけでいると言われたことしかできないとやつと罵られる。などなど。
日本の人手不足を補う外国人労働者。ダイバーシティという日本の未来の姿。元々働いてきた日本人の苦労、妬みをストレスを、弱みに漬け込みイジメ差別をする精神を内包している人間のありかた。性格の違い、文化の違いを理解できない人がいる。
コンビニや飲食店で働く外国人は技能実習生なのかと思っていたが実際は学生がほとんどなのだという。週20時間しか働けないという名目上の縛りがある。実際はなんだかんだで指摘が入らない限り、知って知らぬふりで働いている。
日本のビザ審査の事情が労働環境に大きく影響している。だれでも受け入れるということは政府機関はしていない。治安やら犯罪率やらマナー違反などで雰囲気を壊されることを嫌う文化である日本だからだ。
勤め先から逃亡してお金に困り借金、詐欺行為などの犯罪行為にいたる。長い人生からしたら小さい金額にもかかわらず思い詰め人生を棒に振る。
「働いている会社で勉強して経験を積む
それだけが今見えていること
差別しないでほしい」
「きつい仕事を日本人はしたがりません。
ベトナム人だってしたいわけではありません。」
そのとおりです。
対策があるとすれば
①安易に借金をして日本に来ない
②少ない給与を搾取されない
③「名目だけの技能実習で単純労働に従事することもあること」を知ったうえで日本に行くかを決定する。
のどかな自然にふれあい、美味しいものをたべ、時間とお金と心にゆとりをもつ生活ができればいいけども。
借金という縛りの力を利用するビジネス。継続は力となり運良く生き抜けれる人はいい。だけどすべての人が運良く生きていけるわけではない。様々な出来事に遭遇し対峙向き合い受け入れることができる人とできない人がいるのは事実である。
融資によって消費を増やし経済規模を拡大させようとする政府。悪いことではない。夢の実現。ありたい姿の実現。
無理に借金をせずにがんばらない精神も大切である。
夢を追い、欲望に漬けこまれ、騙されてしまう人が少しでも減ってほしいと願います。
ではまた